怠惰と偶然が産んだ奇跡、「歯みがき上手かな」

この記事はヘボコンAdvent Calendar 2017の3日目の記事です。
昨日の記事は、ろいさんによる

ヘボコンへのあこがれが昂じてゲームを作ってしまいました

でした。

改めましてS川です。
2015年の西ヘボコンでタミヤ賞、2016年の高島屋ヘボコンで最ヘボ賞を受賞したことがあります。何かで賞を取ったのは、おそらく小学3年生のときにマイナーな大会で作文で入賞して以来、およそ15年ぶりでした。

そのため受賞できたことが非常に嬉しかったのですが、その時の記録を取らなかったため、この機会に西ヘボコンの思い出を振り返っていこうと思います。そして、ヘボコンで重要だと思ったことを紹介します。

ちなみにこちらが私の作ったロボット、「歯みがき上手かな」です。

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後先考えずに申し込む

西ヘボコンは2015年の3月28日に開催されました。そしてちょうどその頃というと、就職活動が解禁される時期です。当時大学3年生だった私も無関係ではありません。

とくに、3月末は説明会が怒涛のごとく開かれ、職にあぶれないためには毎日欠かさず何処かしらに足を運ぶ必要がありました。

賢明で計画性のある人はそんな時期にイベントを入れたりしません。未経験のロボットを作るという作業と、就職活動との両立ができないことが予想できるからです。残念なことに私には計画性が生まれつき欠落していることもあり、意気揚々とヘボコンの応募ボタンを押してしまいました。

ポイント:計画性を無くそう!

案の定、多忙

3月になると、ほぼ毎日大学へ足を運んで説明会に参加するという日々が始まりました。もちろんヘボコンどころじゃありません。応募時は「がんばって半田付けとかするぞ!優勝するぞ!」と、非常にやる気があったはずが、「めんどくせー」「就活しなきゃいけないし後で考えよう」とヘボコンについて考えるのを避けるようになりました。

ポイント:多忙を言い訳にしよう!

小学生以下の技術力、そして怠惰

しかし、開催4日前になるとさすがの私もマズイな、という気持ちになり、とりあえずどうにかしなければ・・・と、Amazonで「小学生向け」と書いてあるロボットキットを2つ買いました。1つは組み立てに失敗したため、もう1つのキットが採用されることになりました。

イーケイジャパン社の、メデューサ・ネオというキットです。
これは、ただ前に進むだけのロボットなのですが、どうせヘボコンだし動いていれば2回戦くらいまでは行くだろう、という舐め腐った態度で選びました。

外装をどうするべきか悩んだのですが、当時ハマっていた羊毛フェルトの余った羊毛をひたすらに巻きつけて、フェルティングしていくことにしました。きっとめちゃくちゃ可愛くなるだろうな、ヘボコンのアイドルになるかも、と目論んでのことです。

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ところがここでトラブルが起こります。途中でめんどくさくなったのです。「忙しいから・・・履歴書書かなきゃいけないから・・・」と言い訳をしてフェルティングを途中で放棄しました。

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可愛さとは程遠い、奇妙な綿埃のできあがりです。

ポイント:とにかく、言い訳をしよう!

「それは乳歯か何かですか?」

そして出来たものを見て、これはなんのロボットなのか・・・と苦悩しました。顔もないし不気味だ。ホコリの妖精ということにしとくか?うーん、こまったこまったと、上記の写真をTwitterにあげたところ、デイリーポータルZのインターンで一緒だった人が「それって乳歯ですか?」とリプライをしてきたのです。

あ!それだわ。乳歯ね。めっちゃ良いこと言うじゃん!はい、採用です!
「歯みがき上手かな」がこの世に爆誕した瞬間です。西ヘボコン開催4時間前のことでした。

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歯ブラシを持たせた

ポイント:ウケが取れるように名前だけは全力で考えよう!

対戦相手が・・・

完成した綿の塊を手に抱え、会場へ向かい、対戦相手を決めるくじを引きました。

そしてびっくり、相手は小学3年生の男の子、奇しくも私が最も人生で輝いていた年齢の少年です。対するは、歯をちゃんと磨けと迫る大学生、この画が面白くないわけがありません。コレめちゃくちゃおいしいぞ!!と思い、めちゃくちゃニヤニヤしてステージに上がってしまいました。

しかし、小学3年生のロボットなんて間違いなくヘボいに決まっているのです。これは間違いなく大人が勝ってしまう。無垢な少年は傷ついたりしないだろうか・・・ごめんね、お姉さんのことを許してくれ・・・。

そして、そんな気持ちが届くはずもなく、無情にも試合は始まってしまったのです。

開始合図が鳴り響いた刹那、おい!!!!卑怯だぞ!!!!!と心の中で叫びました。
そう、彼のロボットはヘボいどころかしっかりとした構造で、スピード・耐久性ともに圧倒的にこちらのはるか上を行っていたのです。「歯みがき上手かな」は試合開始1秒未満で場外へ。1回戦敗退です。
怠惰な私に対し、しっかり努力をし、計算し尽くしただろう瑛くん。人間としても完敗です。しかし、その残酷なコントラストが結果的に「歯みがき上手かな」のタミヤ賞受賞の要因となったと思うのです。

ポイント:おいしい試合になるように事前に祈り続けよう!1ヶ月くらい前からが目安だよ。

そして受賞

このような奇跡的な流れで、観客・審査員の印象に残ることに成功し、結果的に「歯みがき上手かな」はタミヤ賞を頂くことができました!!!!!!

受賞は非常に嬉しかったのですが、同時に複雑な気持ちが残りました。
株式会社タミヤの石崎さんからは、「タミヤの音センサーロボットを使っていると思うんですが、見るも無残な姿で印象に残りました」というコメントをいただいたのですが、「歯みがき上手かな」の中身はタミヤのキットではなく、イーケイジャパン社だったからです。惜しいね

ポイント:審査員のヘボさにつけ込んで混乱させろ!

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その後、あまりの戦闘力のなさを反省し、高島屋ヘボコンでは電動歯ブラシを搭載し、戦いに挑んだのですが、こちらも一回戦敗退。このような生活態度では勝負には勝てないのだとしみじみ反省しました。

まとめ:偶然の連続が怠惰を奇跡に変えた

歯みがき上手かなは、それ自体はただの気持ち悪いロボットなのですが、「乳歯?」というコメントとか、最強の対戦相手や、審査員がヘボい、といった偶然が重なったことでよりヤバさが漂うロボットになったのではないかと思います。

そして、ヘボコンはそういった現象が1回の大会に何度も何度も起こってしまうのです。その度に会場が爆笑の渦に巻き込まれます。これはぜひみんなに体験してもらいたい。ヘボいということが奇跡に変わる瞬間を直接見たほうがいい!観客でもいいのですが、自分が作る側になるともっと面白いです。とびっきりの怠惰な気持ちで挑むとさらに楽しくなると思います。

S川からは以上です。

明日は、斎藤充博さんの「世界に風穴を開けたamazing quick floor」です!
お楽しみに!!!!