小5のとき、お小遣いで中古でポケモンエメラルドを買った。
小3の時にポケモンサファイアを紛失(多分盗られた)してから、久々にポケモンに触れることができるようになって、11歳の私はルンルンだった。
ポケモンをプレイしたことがない人は知らないと思うが、ポケモンには色違いがいる。確か約1/8000の確率で出会うことが出来るが、普通にプレイしてても中々出会えない。出会えたらすげーラッキー。
そんなすげーラッキーなことが私のカセットで起こった。
ハスボーの色違いが出たのだ。

かわいい。
私は水ポケモンが大好きで、ハスボーも例外なく好きだった。多分前世はカスミ。
そんなハスボーのレアな色違い!
カラーリングが茶色であまり可愛くなかった気がするけど、それでも嬉しくて手持ちに加えて、せっせとレベルを上げていた。
そんなある日、同級生のしおりが「ポケモン、貸して」と言ってきた。
しおりはまあまあ仲良くて、ゲーム好き仲間として互いの家に行ったりする関係だったので、「いいよ」と即答した。
ポケモンだけじゃなくてネトゲにもはまっていたので、そっちで遊べばいいや、という軽い気持ちだった。
数週間後。
しおりの家でのことだった。
「しおり、そろそろポケモン返して」
「わかったー、レックウザ、レベル100になったよ」
「え、そんなに進めてるの」
「プロアクションリプレイ使ったから」
「・・・」
プロアクションリプレイ、それはゲームのプログラムを改造するツール・・・
勝手にわしのゲーム弄るなや!と、S川少年はひどく悲しんだ。
「そういえば、わたしのハスボーは」
「どのハスボー?」
「色違いの!」
「あー、いなくなった」
「え」
「弟が、さいしょから、にしたから」
・・・
その後のやり取りは覚えていない。
しかし、しおりの家に行ったのはその日が最後だったことは記憶している。
その後私が転校し、しおりと会うことは一切無くなった。
思い出すキッカケも無く、10年の月日が経とうとした頃、Facebookの「友達かも?」のところに「しおり」が出てきた。
速攻でブロックした。
