5歳から12歳まで母の実家がある宮古島に住んでいた。
平和でのどかなイメージがあるが、やはり田舎特有の陰湿さがあったり、自転車は年に1回盗まれる、そんなところだった。
私が自転車に乗れるようになったのは確か小学1年生、泣きながら、こんなことも上手く出来ない自分に怒りながら、1週間練習して乗れるようになった。
それから1年近く経って、初めて買った自転車が盗まれた。
母親はスピード狂(車)で、自転車と無縁の人生を送ってきたので、チェーンをかけるということを知らなかった。だから、もちろん私も知らない。
鍵を掛けずに家の前にポーンと置いてある自転車なんて、盗まれるに決まっていた。
間もなくして、我が家には2台目と盗難防止用のチェーンが来たが、2台目はまたもや1年後に、チェーンを何かで切断されて盗まれた。
3台目はもう良いんじゃないか、と思うかもしれないが、田舎で、バスも電車もなく、重要な交通手段といえば車か自転車。
徒歩だと1時間くらいはかかるだろう友達の家に行ったりするには絶対自転車が必要なのだ。
というわけで3台目が来た。小3の夏のことである。
3台目は白で統一された、スタイリッシュな見た目をした折りたたみ自転車だった。
これの白バージョンみたいなやつ
当時からすでに、「かわいい〜」って感じのデザインが憎しみを感じるほど嫌いで、シンプルな感じのものが好きだった。
ピンクや赤みたいな、女の子が好きそうな色は嫌だった。
自分のお気に入りのデザインの自転車を買ってもらって、ルンルン気分で家に帰る、はずだったのに。
母は2回も短期間に自転車が盗まれたことを非常に怒っていて、どうにかしなければ、と思っていた。
そこで思いついたのが「可愛くしとけば盗られないだろう」ということだった。
私の目を盗んで、自転車の泥除けに絵を描いた。
早速素敵な自転車に乗ってお家帰るぞお、と店内から戻り、自転車を目にした私はショックを受けた。
こんな柄が後輪の泥除けに生成されているのだから。(本当にこれくらい下手)
マッキーを持った母親に、ふざけるな!ふざけるな!何してるの!!なんでこんな絵!!!!ふざけんな!クソババアアアアアと絶叫した。そのまま自転車を蹴り倒した。ワアワアと大泣きしながら、ポカスカと母親を殴った。
何をしても消えないのでますます癇癪はひどくなり、この日は1日中怒っていた気がする。
これが私の最も古い「干渉されたくねえ」エピソードである。
ちなみに、このチャリは1年半して普通に盗まれた。


