普段SNSをしない中学時代の旧友がめずらしく投稿をしていた。
そういや東京の大学に通って居たよな、今も東京にいるのだろうか、と声をかけてみた。
「(いつでもいいので近々)遊ぼうよ」という趣旨で声をかけたはずなのだが、
「最近金髪にしたから見て欲しい」という返信が来て、あまりの衝撃に「今日はどうですか」と私が返し、またやりとりが続いた2時間後には顔を合わせることになった。インターネットの発展はなんて素晴らしいのだろうか。いや、そんな話がしたいのではない。
彼女は私が知っている中でも指折りの引っ込み思案の真面目な人間で、私がモラルのないことを言えば諌めるような人だ。私がインターネットに引きこもってる間にも、ちゃんと勉強をして進学校に入り、自由な校風の中で、髪も染めず耳に穴を開けることもなく過ごしていた。そのポリシー(?)は2年前に会った時も変わらずに守られていて、上品なお姉さまへの道を着々を歩んでいた。そんな彼女が急に金髪にしたという。2016年下半期最初の衝撃である。
心の準備をして会いに行ったが、それでもその姿を目の前にしたときの衝撃は大きかった。
久しぶりよりも先に「何があったの」という言葉が先に出た。
あまりにも急な出来事だから、目的地に向かう電車の中で、男の影響か、心の病か、失恋か、悪い友達か、あれから正反対の性格になってしまったのでは、と色々考えていたのだが、以下のようなことを言われた(うろ覚え)
「うち優しくてさあ、嫌って言えなくて、それにつけ込んでくる悪いやつが出てきたんだよねえ、それに負けないぞ、っていう意気込み・・・」
理由があまりにも「らしくて」、ウオオオ、という声が出た。
おしゃれになりたい、イメチェン、なんとなく、今まで聞いた「髪を染めた理由」で最も重みがあった。カッコイイ。
10年来の友人でどんな人間かをよく知っているので、魂が揺さぶられる思いだった。あの子が、そんなことを思って・・・という感動である。中身は相変わらずで、感性やセンスもコアにあるものは変わっていなかった。
人は見た目ではないという思いと、人はやはり見た目だという相反する思いが同時に湧き上がってきた不思議な1日だった。テンションが上がってピクルスを作った。部屋中に立ち込めるバルサミコ酢の匂いが今日の思い出と強く結び付くんだろうな。
