昇悟と純子の『evergreen』というお芝居を見てきた。私は語彙がなく、学がなく、演劇の知識は尚のこと一切無いのでめちゃくちゃ面白かったとしか言えない。
でも夜道を歩いている間に、興奮のせいでこんなところが素敵だったと言いたくなってしまった。純粋に面白かったでも良かったんだけど、いろいろ「あ!」と思うことがあったので。
自分が詳しくないものへの感想を述べるというのは憚られるし、意図がズレてるな〜といろんな人に思われる可能性があるが、それでもあの気持ち、この気持ちの高揚を書かずにはいられない。すごく面白かったことを伝えたい。これはネタバレになるのでしょうか?ならないように書きます。完全に私個人の解釈や感想にしたいです。
(※追記:やはりネタバレだそうです)
『evergreen』の本質はどこにでもある話で、何度も何度も繰り返されてきた話なんだと思う。何気ない言葉で恋に落ちる人がいて、一生懸命彼・彼女を振り向かせてようやく結ばれて幸せ〜!と、思いきや、そう簡単に甘い日々を過ごさせてはくれない。上手くいかない。多くの人が身に覚えがあったり、見聞きしたことがある話なんじゃないか。
そんなストーリーの肉付けがもう本当に可笑しい。めちゃくちゃに可笑しい。本当に腹がよじれるくらい笑った。デペイズマンというキーワードとは裏腹に、デペイズマン的要素を排除した「うわー!わかる!ある!」という笑いがうわーっと散りばめられている。ダブルラテ。馴れ馴れしいスタバ店員のあいさつ。シーシャ。なんとかバル。100種類のサワー。トイレにある親父の小言ポスター。そういうのが、適切なタイミングで、笑いを生んでくる。なんというか、知っている要素がたくさんあるのに、めちゃくちゃ新鮮で、それが不思議だった。
主役2人の心の機微も、非常に共感できるというか、めちゃくちゃ人間臭くて、心がぎゅっとさせられた。
そういう気持ち、そういうセリフ、言ったことある。聞いたことある。そう、そういうのが人を傷つけたり傷ついたりするんだよな。相手のことを思ってやっていたのに、自分の思っていた幸せとは違う方向にどんどん行ってしまう。ほとんど自暴自棄。
でもあの人のことが好きだから。最初思っていたのとは違うけど、自分が選んだことだから。これで間違ってないんだ。うんうん。
シュールこそが芸術的でユーモラスだと思いがち。そうじゃないと人から認めてもらえない、愛してもらえないと思ってしまう。でもふと気がつくとやっぱりポピュラーなものって良いじゃん。世田谷ベースのような生活がしたい。売れてるからスピッツのこと忌み嫌ってたのに、ロビンソンがめちゃくちゃ名曲だった。
人生でそういうシーン見たことある。
こういうことを繰り返したときに待っているのは果たしてハッピーエンドなんだろうか?
そして、そうやって笑ったり心がぎゅっとなって迎えたラストが本当にキラキラしていて、それが『evergreen』を最高のラブストーリーにさせていた。コメディだと思っていたら、純愛だった。ちょっと泣いた。ラブストーリーは得意じゃないのに、そこで全部心を持って行かれてしまった。『evergreen』はすごく美しい話だった。
ネタバレしないように書いたらすごくぼんやりとした話になってしまった。見た人としか共有できなさそう。共有する人が欲しいのでぜひ見に行ってください。めちゃくちゃ面白いです。https://shogotojunko.tumblr.com/
