休職して2週間以上経っただろうか。時間が流れるのがとても遅い。
最初の数日はやっと休めるということが嬉しくて、ほっとして、さあ何しようかな!とたくさん本を読んだ。土日はそう過ごして、そのうちに自分を責めるような考えばかりが浮かんで毎日泣いて怒って過ごした。
なぜこうなってしまったのか、私は休職しなくてもよかったんじゃないか、なんで頑張れなかったんだろう、職場の人は私を弱い人間だと責めているんだろうな、こうなる前にもっと何かできなかったのか、私に能力さえあれば。でも限界だったんだから。
文字通りの堂々巡りだった。
「休職 もう終わり」とか、「休職 ずるい」とかそういうGoogleのサジェストばかりが気になって、ああ、もう自分は終わりだな、もうどこも雇ってはくれないだろう、そもそもこの世に私を受け入れる環境なんかあるのだろうか。無職がお似合いなのかもしれない。
こんな気持ちになるのであれば、自分の心を殺して働き続ける方がマシだったのかもしれないと思った。むしろ、こうなることを恐れて何かと理由をつけて働き続けたのが、この数年の時間だったと思う。
「くるしいくるしい、休職なんかしない方がよかった」と悩む私に夫が「完全にその過去を悔やんでる感じがうつのそれだよね」と苦笑いした。あー、そうなんだろうな〜と思い、まあ時間が立てばもうちょっと建設的に考えられるかな〜と、1週間ほど泣いたり自分の精神のやわらかいところをいじくったりしながら過ごしたら、回復してきたのか意欲の芽を心の中に感じた。久々に家事ができる。心の底から笑える。頭が、心が、体が軽い。会社のことは思い出すとお腹が痛くて心が苦しい。
そんなわけで今週は比較的意欲的に活動できた。休むと元気になる。いつぶりだろう、2年以上、3年以上ぶりかもしれない。エネルギーを感じる。もう大丈夫になってきている。精神科医とも相談して、休職は今月中で切り上げられそうである。病気休暇を使うだけで済んだ。しかし会社に戻って「普通」に働けるビジョンは見えない。
会社を辞めた人に会って話したり、性格診断を受けたり、純粋に職務から離れて思い出したのは「私は真面目ではあるが基本的に自由を求めるしいい加減な人間である」ということだった。
本当は面白いことだけしていたい。議論をしたり検討をしたり、戦略を考えたりをしたり、コンセプトを考えたり美しいものに拘りたい。仕事は好きだが「作業」をしたくない。めんどくさいし、つまらない。事務作業ができない。ストレスが溜まると、より細かい作業に対する耐性が下がる。「障害」であるかは置いておいて、多動や不注意の傾向がある。
でもこんなやつ、めんどくさいから基本的に職場に置いておきたくないじゃないですか。口だけのやつは嫌われる。私はこの一般的事実に非常に自覚的であり、責任感をひどく発達させることで「口だけじゃなくちゃんと手を動かしますよ」ということを見せつけてきた。でも、本当はもっと口だけのやつでいたかった。
勉強はできるから、大体の仕事は卒なくこなしてきた。苦痛な「作業」もたくさんやった。自分にとってはこの「作業」を正確にやり遂げることがかなり困難だった。もちろん達成感もあったし、人に褒めてもらいたい部分ではあったのだが、一般的な人間にとってそれは大した話ではないわけで、人事評価もされない。その代わり「頭がいい」という定性的評価を獲得するわけだが、自分としては十分に能力を発揮していないにも関わらずそう言われることは「勉強はできるけど仕事はできないよね」と言っているようにしか聞こえなくて自己評価をさらに下げることになり、余計「作業を正確にしっかりと行わなければならない」という強迫観念に支配されることになったのだった。こんなこともできなければ、どこでもやっていけない、と思っていたと思う。
この時点で私が本来持ち合わせていた柔軟性とか自由を愛する心とかは死に絶えていて、その状態で長年仕事をすることになってしまい、徐々に精神が追い込まれていったんじゃないかと思う。本当に、ちょっとずつ苦しくなっていったと思う。気がつけば自分で自分を追い込んでいた。
定期的に話を聞いてくれる人間が職場に居ればもうちょっと違ったと思うし、自分がこの最悪のループに気付いておけば、もっと会社やめるとか環境を変えるとかそういうことができたと思うんだけど、まあ仕方ないかなと思っている。会社に対しては、明らかに調子の悪い従業員を目の前にしてもっとどうにかできなかったわけ?とは思うけど私の特性が社会の平均からは外れているのでさぞかし面倒だったでしょうねと感じる。
結局のところ、自分自身の受容と、迷惑をかけてもいいじゃないか、嫌われてもいいじゃないか、という生き方を心底徹底しなければまた繰り返すことになるんだろうなと思う。これがまた難しいんだよな。
休職を選んで一時は後悔したんだけど、今はすごくよかったと思っていて、今まで何かから逃げることが苦手だった自分に逃げる経験をさせることができたのが一番よかった。続けたくないなあという部活も辞めれなかったし、バイトを4年続けた理由も結局逃げるのが怖くて、というのが大きかったし。
あと半年前から受けてるカウンセリング、これがなければ多分まだ会社で吐きそうになりながら這いつくばっているか、もっと重症になっていたと思う。不安でパニックになったときの対処法も少し使えるし、カウンセリングを経て少し取り戻した自己肯定感と、自己実現したいという気持ちが自分がここから逃げることを促してくれたような感覚がある。まあたまたまかもしれないんだけど……。
まあ、そんなわけで結構元気です。
